こんにちは、
ジョヴァンニ・ワークスです。
今回は、
遠景の省略の仕方について解説します。
「遠くの景色ってどう描けばいいかわからない」
「俯瞰の背景ってすごく難しそう…」
そう思う方、多いんじゃないかと思います。
こういった省略の仕方は他の漫画でも使える、
この作品はこういう省略をしているということを、
実演で紹介したいと思います!
シーン①
遠景とは「遠くの景色」のことです。
このシーンの場合は、後ろにあるビルがそれに当たります。

例えば、後ろのビルはシルエットになっていますね。
もしかしたら
「窓とか描きこまないでいいの?」と、思ったかもしれません。
こういった背景の処理でも違和感がないのは、
理由があります。
遠景を省略するための大前提
遠景を描く上で、
最も重要なことをご紹介します。
省略するためには
しっかり手前を描く必要があるということです。

このシーンも、手前がしっかり描かれていて、
奥に向かって線が抜けていくからこそ
省略ができます。
もし、手前をしっかり描きこんでない状態で、
奥を省略すると
ただただ情報量の少ない背景になってしまいます。
手前のこの描き込み部分があるからこそ、
車が飛び出て、そこに目線を集中させるために
あえて背景を抜くという処理をしても問題ないということです。
遠景を省略する場合、
大前提として手前にあるものはしっかり描き込みましょう!
遠くにあるビルの省略
大前提をやった上で、
次はビルの省略の仕方について解説します。
現代物のように
遠くの方にビルがあるシーンの場合、
省略する際のポイントはシルエットです。


シルエットを描く際に、
要所要所で「これは立体だ」という情報を入れることが大切です。
立体の面の向きがわかるものを混ぜてみましょう。
それをするだけで、
パッと見の遠くの処理というものが
より伝わります。
真正面を向いたビルを描いてもいいですが、
向きが違うビル、同じ消失点ではないビルも描いてあげると、
遠景のビルの処理はグッと見栄えが良くなります。
ビルの線画
このシーンでは、
ビルのシルエットの線画に強弱がついています。

ここが単調な線になると、
どうしてものっぺり感が出てしまいます。
こういったところでも
線の強弱をしっかりと意識しましょう!
シーン②

次はこちらのシーンです。
背景が苦手なうちは、こういうカットはすごく難しく感じると思います。
特に俯瞰の状態で描いているので、
手前と奥の意識が薄れやすくなります。
ですが基本は同じで、
手前をしっかり描くという意識で見てみましょう。

例えば手前にある建物、道などサイズ感がわかるものがしっかりと描かれています。
畑や牧草地なども描かれているので、
「こういう街並みなんだな」とわかりやすいです。

奥側を見ると、「これは建物かな?」
ぐらいの情報しか描いていません。
ですが、手前は建物をしっかりと描いているからこそ、
遠くの方にあるちっちゃい四角形が建物の様に見せることが出来ます。

注目してほしい部分はタッチの部分です。

タッチの入れ方の話でも説明しましたが、
基本的にはタッチの向きを統一しているおかげで、
タッチの濃度を変えても悪目立ちはしません。
ポイントは奥のものは手前のタッチよりも
目の間隔を大きくしないことです。
もし、奥にある物のタッチが
手前よりも目の間隔が大きいと、
奥のものの方が手前に見えます。
必ず遠くにあるものの方が、
線が細く、目の間隔が小さくなるようにしましょう。
シーン③

こちらも先程と同様に、手前のビルを描いて
奥に向かうほど情報量を減らします。
ここでのポイントは、
ビルを描く時に似たようなビルを描くのではなく、
色々なビルを描いてみましょう。

例えばこのコマを見ると、
長方形のようなビルだけでなく、屋根付きの建物、
様々な方向に向いてるビルがあると思います。
また、向きも微妙に違うのがおわかりでしょうか?
このように建物のバリエーションを増やすことで、
背景のクオリティはアップします。
最初の内は難しいですが、
「どんな種類のビルがあるんだろう」
「どういうふうに並べられているんだろう」
そういったところを観察し、パターンを覚えていきましょう。

建物のシルエットも同じです。
バリエーションがたくさんあると背景のクオリティが上がりますよ!
まとめ
いかがでしたか?
遠景を描く上で大切なのは、
前のモノはしっかり描いた上で省略する
ここをしっかり押さえたうえで、
建物の形、パターン、どう省略しているのかを
観察し覚えてみてください!
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