漫画アシスタントの将来性、生き残るためのスキルとは

仕事術

こんにちは、ジョヴァンニ・ワークスです。

世の中、様々な作業や工程が、アナログからデジタルへと移行していますよね。

今まさに漫画を描いているあなた自身も、
周囲のツールが徐々にデジタルへ移行しているのを実感しているのではないでしょうか。
「なに言ってんの、もう全部デジタルだよ」そんな方もいるでしょう。

今ではCLIP STUDIO(クリスタ)やUnreal Engineといった、ソフトウェアの進化・プラットフォームの登場により、既存の3Dデータを使ったり、写真を加工したりする手段が選べるようになりました。

漫画なら、特に背景が進化していますね。

今は3Dデータや写真をレンダリングorフィルタ掛けするだけで背景を作れます。
クリスタならパターンブラシを選択するだけでもいけます。

つまり背景に関して言えば、20年前のように
一から描くという手段をとらなくても
ある程度の背景なら描く必要がなくなりつつあると言えるんです。

弊社は漫画のプロアシスタント(プロアシ)を本業としている会社です。

そこで、クリスタなどにある便利な機能も使いながら漫画制作に携わっている立場から
漫画アシスタントをしている、またはしたいと思ってる方へ
将来にわたって必要になる、3つの「選ぶ」スキルをご紹介いたします。

①完成させる「手段」を選ぶスキル

いきなりですが、学校の教室の背景を用意するとします。

窓際なのか、黒板を中心に置くのか、または鳥瞰にするのかなど、
いくつかの構図が頭に浮かんだことでしょう。

そしてここで、使うソフトウェアやプラットフォームもいくつかの選択肢が出てきます。

  • CLIP STUDIO
  • Photoshop
  • Unreal Engine

などなど。

さらにそこからソフトウェアごとに、
・フィルタ加工
・3Dモデリング
・レンダリング
など、様々な機能を選ぶことができます。

例えば、アナログでカラーインクのような表現をしたいと思った場合、
油絵で一からそれを表現しようとするより
最初からカラーインクを使った方が手早く確実にできますよね。

それはデジタル環境でも同じことで、
一から描かずとも、手早く確実な方法がいくつもあります。

そして選ぶ上で押さえておくべき大事な点は
機能やソフトウェアは”画材”と考え、それらの特徴を掴んでおくこと。

表現の幅を広げる&選択肢を増やすという意味で
これを意識することが重要です。

完成させる「手段」を選ぶスキル、
これは漫画を描く状況で使い分ける「戦法」と言えます。

②入れるべき「絵」を選ぶスキル

これは、漫画アシスタントとして柱となる重要スキルになるので
ぜひ覚えていただきたいポイントです。

入れるべき絵、それは漫画家の先生が希望する絵のことです。

ここでも背景を例にしますが、背景は演出の一部です。

適切な演出をするためには
「このシーンはどういうシーンなのか?」をくみ取った上で
背景を選ぶ必要があります。

なので、この“絵を選ぶスキル”が備われば、
漫画家アシスタントとして大いに活躍できます

逆に、せっかく美麗な背景を描けた、または作れたとしても
選ぶスキルが低ければ、先生に受け入れてもらえないことがあるでしょう。

その結果、残念ながらリテイクになります。
厳しい言い方をすれば、時間と手間を浪費するだけに終わります。

さて、頑張っても報われないという悲しい事態を回避するために
普段から何をすること大事でしょうか?

それは漫画の背景やコマに、普段からアンテナを張ることです。

  • なぜこのコマにはこの背景なんだろう?
  • このコマでは何を一番見せたいんだろう
  • このコマはどういう演出意図があるんだろう?

このように、自分なりに考えてみましょう。

漫画に限らず、アニメ・映画もそうですが
全ての背景・オブジェクトには”そこに存在する意味”があります。

“なんとなく”
“適当に”
そのように意図せず「何でもいいから入れました」ということはまずありません。

キャラクターのバック、ライティング、色合い、構図……
全てに意味があるそう考えながら見る癖を付けましょう

なお、制作上の意味を知る方法として、
紹介記事や監督・スタッフが出演するオーディオコメンタリーなどが挙げられます。

機会があればそちらをチェックしてみることをオススメします。
プロフェッショナルな、新しい視点を見つけられるなど、大変面白いですよ。
まずは自分の好きな作品から、初めてみると良いと思います。

そのようにインプットしつつ、思考を繰り返しながら、絵を選ぶスキルを鍛えていきましょう。

これは1つ目の戦法に比べ、より広い見方と捉え「戦術」と言えます。

③自分を活かせる「場所」を選ぶスキル

1つ目が戦法、2つ目が戦術と紹介しましたが、この3つ目のスキルは
それよりも大局的な視点、「戦略」です。

戦法や戦術がいかに優れていたとしても
選んだフィールドに自分よりもレベルの高い強豪がひしめいていたら?
あるいは、無理に不得意なフィールドで戦おうとしたら?

そのような状況に身を置いても結果は出にくく、埋もれてしまうことが多いです。

ですが、自分が得意とするフィールド上で、ライバルがいなければどうでしょう?

答えは簡単で、あなたの独壇場になります。

例えば
・3Dモデル作成の経験
・写真を漫画風にアレンジ

このようなスキルを持っていれば、
作成した3Dモデルをレンダリング、またはフィルタ加工した写真を
漫画に流用することが可能
です。

そして、これらを問題にしない作家さんとなら、きっと良い関係が築けるでしょう。

要するに突出した描くスキルがなくても、
別のスキルと組み合わせれば戦える場所は多数あるということです。

“描けること”に加えて、”自分が出来る別のこと”を活かせる場所を選びましょう。

ちなみにこれは余談になりますが、
動画編集スキルはこの先覚えておいて損はありません。

自身で動画配信チャンネルを立ち上げたいと考えている、
または既に立ち上げている作家さんの中には
「動画編集を頼みたいけど、出来ることなら信頼できる人に任せたいな……」
そう思っている方が必ずいらっしゃいます。

そこで、絵が描ける&動画も編集できるという複合スキルを持つあなたが登場すれば、
付加価値をつけられ、新しい仕事の獲得へと繋がるでしょう

動画編集スキルがオススメですよ、という話と同時に、
自分が戦える、勝てそうなフィールドを選ぶ「戦略」が大事という話でした。

【まとめ】漫画アシスタントのこの先について

ツールの進化により、必須だと思われていた仕事や技術の減少は回避できません。

漫画の世界なら、トーン貼り・トーン削りといった専門技術を代表に
アナログ技術を発揮する場は、今やかなり少なくなっています。
それほど、デジタルツールの発達や進化が著しいということの現れです。

ComicStudio(コミスタ)が3Dデータを読み込めるようになる前まで
3Dを使って背景を描く、ということは
よほどデジタルツールに精通していない方でないと難しかったはずです。

ですが、今ではBlenderで3Dモデルを作り、漫画に落とし込む方や
背景は3Dのレンダリングで十分と思っている方も一定数増えてきました。

これからさらに3Dツールが手軽に使えるようになり
様々なプラグインが開発されていけば
「背景は描けなくても問題ない」という時代が、必ずやってきます。

もちろん、画面作りにこだわりのある作家さんなら、
背景は一から書き起こすことを求められることはあると思います。

ですが、作画レベルをそこまで求められないシーンであれば
3Dモデルを配置→レンダリング処理を行う方が、合理的かつ確実です。

そういった手段を選べるスキルが今後大事になってくるでしょう。

というわけで、まとめになります。

これからの時代、次の3つのスキルが大事になります。

①完成させる「手段」を選ぶスキル = 【戦法】
②入れるべき「絵」を選ぶスキル = 【戦術】
③自分を活かせる「場所」を選ぶスキル = 【戦略】

これらのことを意識しながら、自身のスキルを伸ばしていきましょう。
弊社も頑張って参りたいと思います。

それでは、また。

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