こんにちは!ジョヴァンニ・ワークスです!
皆さんはUNREAL ENGINEをご存じでしょうか?
最近ではマンガやイラストで使っている作家さんや
クリエイターの方も増え、
なんとなく聞いたことある言葉ではないでしょうか?
実際に始めて見たいけど、
「なんだか難しそう」
「何をすればいいかわからない」
「本当に役に立つの?」
と思うかもしれません。
そこで今回は、弊社で実際にUnreal Engine4を使ってみて、
「これって実際に本当に使えるの?」ということや、
実際に背景を線画にするまでの手順をご紹介したいと思います。
Unreal Engine4とは?

Unreal EngineとはEpic gamesにて提供されているゲーム開発エンジンです。
Unreal Engine4(以下、UE4と呼ぶ)は近年アニメや映像作品にも使われるようになり、
2022年2月には、UE4を使った漫画制作の事例なども紹介されました。
詳しく知りたい方はこちらの動画をご参考ください
UE4に必要なPCスペック
UE4を動かすためには、ある程度のパソコンのスペックが必要となります
オペレーティング システム | Windows 10 64-bit |
プロセッサ | Quad-core Intel Intel または AMD、 2.5 GHz またはそれ以上のプロセッサ |
メモリ | 8 GB RAM |
ビデオカード/DirectX Version | DirectX 11 または DirectX 12 対応のグラフィック カード |
UE4は3Dデータを扱うため、パソコンの動作が重くなります。
こちらの条件を満たさない場合、UE4をスムーズに動かすことが難しい可能性もあります。
上記ではメモリは8GBと記載されていますが、同時にクリップスタジオも動かす場合は
16GB以上は必須だと思います。
UE4を使った線画抽出
それでは実際に、UE4を使った線画抽出をご紹介したいと思います。
今回はEpic Games社が無料で提供している『Edith Finch:Edie Room』を使用します。
UE4のインストール方法、新規プロジェクトの作成方法についてはリンク先をご参照ください。


【方法1】スクリーンショット
スクリーンショットの手順
UE4でスクリーンショットを撮る方法をとても簡単です。
まずは撮りたいアングルを決めます。

カメラ位置を決めたら『F9キー』を押します。

これでスクショが撮れました。
ライン抽出

撮った画像をCLIP STUDIOでライン抽出をします。

こちらがライン抽出をした画像となります。
【方法2】3Dデータを取り込む
obj形式のエクスポート手順(UE4)
こちらのデータをCLIP STUDIOで取り扱うためには、
CLIP STUDIOで読み込めるデータに変換する必要があります。
fbx形式とobj形式のどちらでも読み込めますが、
CLIP STUDIOで扱う場合はobj形式の方が適しています。
なので、今回はobj形式のファイルに変換する手順をご紹介します。

左上のタブから『ファイル』をクリックします

次に「すべてエクスポート」をクリックします

保存先を選び、『ファイルの種類』から『Object File(*.obj)』を選びます

メッセージ画面が出るので、「はい」をクリックすればデータの描きだしが行われます。
obj形式のインポート手順(CLIP STUDIO)
次に、先ほど保存したデータをCLIP STUDIOに読み込ませていきます。

左上の『ファイル』から『読み込み』→『3Dデータ』を選択します。

先程エクスポートしたデータを選び、『開く』をクリックします。

ライン抽出をする
インポートを行ったら、お好みの角度に合わせます。

レイヤープロパティからライン抽出を行います。


こちらが実際にライン抽出したものとなります。
ベタの調整はライン抽出の際にできた『トーン』フォルダを調整し、
二値化を行いお好みの状態にすることも可能です。
このように、CLIP STUDIOの3Dモデルと同様に
UE4の背景もライン抽出を行うことができます。
エクスポートする際の注意点
1.データが正常に表示されない
UE4から全てエクスポートして、CLIP STUDIOでインポートをした場合、
3Dオブジェクトが黒丸になってしまうこともあります。
こちらの問題の解決方法も説明します。

この現象が起きるのは『Sky Sphere』というオブジェクトが描きだされたことが原因です。
Sky SphereはUE4では太陽光や雲など、空に関する設定を行うオブジェクトです。
UE4で作業する場合には重要なものですが、
CLIP STUDIOで3Dデータと読み込ませる場合には、このSky Sphereは不要です。

エクスポートをする前に、あらかじめSky Sphereのオブジェクトを消します。
消し方は右上の『アウトライナ』からSky Sphereを選択し、
『Deleteキー』を入力すれば消去できます。

Sky Sphereを消した状態でエクスポートし、再度読み込ませたデータがこちらとなります。
2.データ容量が大きい
アセットによってはをそのままエクスポートすると、
ものによっては3Dデータだけで1GBを超えることもあります。
1GBを超えると、データが大きすぎて3Dデータが開けないこともあります。
その場合は『全てエクスポート』ではなく、
必要なオブジェクトを選び、『選択されたものをエクスポート』をすると、
データの容量を小さくしてエクスポートすることができます。
どちらの手法がいいか?
大きく分けて2つの手法を紹介しました。
どちらの方法もメリット、デメリットがありますが、
- アタリにする、参考資料にしたい場合はスクリーンショット
- ライン抽出した線を、線画としてそのまま使いたい場合は3Dデータをインポート
というように、用途で使い分けていくのが良いと思います。
特に線画に関しては、
3Dデータをインポートしてライン抽出するのが
現状で一番キレイに出ます。
UE4で使えるオススメのサイト
3D素材を頒布しているオススメのサイトをご紹介します。
Epic Games Launcher
Epic Games Launcherとは?
『Epic Games Launcher』とは、Epic Games社が提供するランチャーです。
このEpic Games Launcherではゲーム作りに必要な、
様々なアセットをダウンロードできます。

Epic Games社が配布する素材は種類も豊富で、
そのまま漫画背景に活用できるレベルです。
しかも無料のものも多いので、お試しで使うこともできます。
有料アセットについて
有料アセットはものによって値段が様々です。
漫画背景に使用するようなアセットは、¥3,000~¥10,000のものが多いです。
そのため、
- 興味はあるけど、高いかも…
- 気軽にポンポン買えるものじゃない
- そもそも素材選びに失敗したらどうしよう…
と思う方もいらっしゃると思います。
有料アセットを購入するメリットと、素材を購入する際の注意点もご紹介します。
有料アセットを購入するメリット
1個あたりの値段が安い
一見高そうに見える有料アセットですが
1つの3Dオブジェクトの値段は安く、実はとてもお得なことが多いです。

例えばこちらの『Kitchen Props Pack』は¥3,876です
この値段に対し、Number of unique meshes(メッシュの数)は288個です


1個あたりの金額を計算すると、
3,876(円)÷ 288(個) = 13.458333…(円 / 個)
1個あたり13.5円です
これだけクオリティが高い3D素材が13.5円で使えるなんて、
とても魅力的ですね。
用途の幅広さ
さらに便利なのは、単体でも使えるし背景の一部として使えるところです。
例えば同じコーヒーメーカーでも…


こうして単体モチーフとして扱うことも可能ですし、


このように背景として配置することもできます。
資産になる
3Dデータは手に入れたら、
データがどんどん溜まっていきます。
そしてそのデータは使いまわせるので、
そのまま自分の資産となります。

例えばアシスタント先で
「学校の教室を描かなければならない、でも時間がない」となった場合、
3Dデータを持っていれば
「学校の教室なら3Dデータを持っているので、描けます」
という提案もできるかもしれません。
3Dデータを持っていることで作家さんや、
他のアシスタントさんの負担を減らすことに繋がります。
作家さんによっては「UE4を使ってみたいけど敷居が高い」と
思ってる方もいらっしゃると思います。
そういった時にUE4を学んでいれば、導入する提案もできるようになります。
3Dデータを持っていること、UE4のスキルを持っていることは
自分にとってかけがえのない資産に繋がります。
有料アセットを選ぶポイント
有料アセットを購入後、「購入したものがイメージと違った」とならないよう、
あらかじめしっかり内容を確認する必要があります。
例えばキッチンの背景が欲しい場合、
自分が描きたい背景のイメージに合うものを探します。


アセットには資料画像があるので、こちらを参考に選ぶと良いです。

中には、パーツを並べた俯瞰写真が掲載されてる場合もあります。
こういった写真を他の有料アセットのものと見比べ、イメージに合っているのか、
欲しい小物があるのかを確認していきます。
注意点
有料アセットを購入する場合、注意点があります。
それは、特定の小物などが欲しい場合、
写真や説明文で判断するしかないということです
説明欄に情報が記載されていることもありますが、
そういった説明書きがない場合もあります。
それに自分がイメージしているものに近いかどうかは
写真を見ないとわかりません。
例えばこの『Kitchen Props Pack』で、フォークが含まれてるか知りたい場合は、

このように参考写真を見比べて、


このように目視で確認をしていく必要があります。
現状、欲しいイメージの小物があるかどうかは
写真で確認する以外にありません。
そのため場合によっては
「これはフォークだと思ったけどナイフだった」
ということも起こり得ます。
購入の際は、しっかりと写真を吟味することが大切です。
有料アセットをお得に手に入れるには
セール

Epic Games Launcherで配布されてる有料アセットは、
安くお得に買えるセールが行われています。
有料アセットによっては
定価から50%オフされてるものもあります。
月替わりの無料キャンペーン

こちらでは月に1度、特定の有料アセットが無料で購入できます。
1ヶ月ごとに無料で購入できるものは変わりますが、
有料というだけあり、どのアセットもクオリティが高いです。
無料キャンペーンの期間内の場合は、
いつでも無料で購入できますので、ぜひ手に入れましょう。
Megascans
Megascansとは?

MegascansはQuixel社が提供する世界最大規模の3Dデータライブラリです。
UE4用プラグイン『Quixel Bridge』をインストールすることで、
Megascan内のアセットを無料で自由に使うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これだけクオリティの高い3D背景を、
漫画背景に使えるのはとても魅力的だと思います。
しかしUE4を用いての背景作成は
未知な部分もまだ多く様々な課題もあります。
特に、最低限のスペックを持ったパソコンがあることが前提条件です。
スペックが低いパソコンの場合、十分な動作ができないかもしれないからです。
ですが、UE4はメリットも多く
- 無料で始められる
- 3Dを読み込ませて動かすまでなら、短時間で習得できる(1日、2日程度)
- 3D素材選びの選択肢が増える
- 手に入れた3Dが資産になる
さらに勉強を進めれば、
自分自身で背景を作成することもできます。
いつも使う背景を3Dモデルで自作できれば、
かなりの時短が見込めると思います。
これを機に、みなさんもぜひ始めて見てはいかがでしょうか?
他にもマンガ、同人誌、イラストなどで
役に立つUE関連の記事を紹介しています。
こちらもぜひ参考にしてみてください。
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