こんにちは、ジョヴァンニ・ワークスです。
みなさんトレースってどんな印象をもっていますか?
絵を上達させるために挙げられる練習法として、
「トレース、模写をしろ」
というアドバイスは聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
しかし、こう疑問に思う方もいるのではないでしょうか?

「トレースって線を引くだけだよね?」
「模写はわかるけど、トレースは絵の上達に関係なさそう」
「トレースしてもトレースしか上手くならない」
結論、トレースはかなり効果のある練習法です
実際に弊社の新人育成する時は、
まず最初はトレースを徹底的にやってもらいます。
それだけトレースには大きな効果があるんです。
ですが、なぞるだけのトレースになると
ただの手の運動になる可能性があります。
そうならないためにも、
今回は絵が確実に上達する正しいトレースについて、
押さえるべきポイントと具体的な手順を
解説していきたいと思います!
トレースの解説

今回はこちらの写真を元に解説していきます!
トレースには
・労力、集中力が模写よりも少ない
・ある程度の完成度が保証
という2つの大きなメリットがあります。
模写は労力、集中力が大きくなるため、
初心者の方にはハードルが高くなります。
トレースを行うために、視る能力を使うことが大切です。
注意深く観察し、
4つのチェックポイントを押さえましょう。
- 手前、真ん中、奥の距離感
- 物の構造
- 線の種類・質感
- シルエット
このポイントを意識すると、
間違いなくトレースで上達します!
全部を意識するのが難しい場合、
まずは自分の得意なところを1つやるところからでも
大丈夫です。
やっていく内にできるようになってきたら、
徐々にやれることを増やしていきましょう
全体のチェック

トレースをする際は「よーいドン」で描き始めるのではなく、
今から自分が何を描くのかをチェックしながら進めます。
この場合、大きく分けると
- 手前の石畳
- 建物
- 奥の植物
と、なります。
描く前の準備
描くものを確認したら、
次は自分がわからないところを確認しましょう。
暗いところを確認する

この写真を見るとぱっと見て、
建物の入り口が暗くて分かりにくいですね。
こういう時は、わかりやすくするために
暗い部分を選択範囲で囲み、
『明るさ・コントラスト』で入り口を明るくします。
線が追いにくい時は写真自体を明るくして、
線を追えるようにしてみましょう。
トレースする写真にわかりにくい部分があれば、
写真加工、補正をかけることで
よりわかりやすくなりますよ。
わからないところを下書きする
いきなり描き始めてもいいですが、
構造がわからないという場合は下書きをしてみましょう。
この写真では、
入り口部分のどうなっているかを下書きしています。
よくわからないものをよくわからないまま描くと、
ただ線を追うだけの作業になってしまいます。

自分なりにどういう構造になっているかを
調べたり考えることはとても大切です。
これは模写をするときも同じです。
絵を描く時はわからないことに対して、
最初の段階で準備をすることが大切です。
線を描き始める前に、
自分のわからないところをなるべく潰すことで、
作業の時間短縮、調べながら描くなどのマルチタスクを避けることができます。
パーツ分け

絵を描く基本は
手前・真ん中・奥とわけることです。
そうすることで画面内に距離感が生まれます。
シルエットを取り、それぞれのパーツを塗りつぶすと、
後の二値化処理の工程が楽になります。
二値化処理

画面を丁寧にシルエットを取ることで、
このように別々のパーツで二値化(画像を白と黒にする処理)することができます。

質感や雰囲気がわかるように二値化を進めます。
こちらを参考に進めていきます。
アイレベル確認

トレースをする時も
アイレベルを探す習慣をつけるとより良いです。
パース定規を使うと
自然とアイレベルも作成してくれるので、
ぜひ試してみてください。
この写真ではちょっと上に向けて取っているので、
大体アイレベルは2m~2m10cmあたりになります。
作画(手前)

トレースをする際に大きな建物から入りたくなりますが、
まずは手前から描きましょう!

トレースをする際に
手前以上に奥と真ん中は描きこまないようにしましょう。
今回のように真ん中に目立つ建物がある場合、
そこばかり描きこんでしまうということがあるからです。
絵は基本、手前にあるものの方が情報量は多いです。
手前より奥を描きこんだ場合、
パッと見であまり距離感がない絵という印象になります。
なので、ルールとして
手前より奥を描きこんだら
同じぐらい手前を描きこむ。
これを守れば、絵にも統一感が出ますし、
奥は手前より描きこまなくていいという基準もできます。
作画(真ん中)
建物の線を引いていきます。
描きこみ過ぎに気を付けるために、
画面を引いてみるなど確認するクセを付けましょう。

建物のアウトラインは一番目立つところです。
できるだけ綺麗に線を入れるためにも、
入り抜きを意識しましょう。

作画(奥)
今回、後ろの林は写真加工を行います。
林は一番奥でそこまで労力をかけなくてもいいということ、
手前、真ん中をしっかり描いたということで、
写真加工してもイラストの印象と合うからです。

黒くなりすぎないように、
全体の色味を調整します。

グラデーションのトーンを塗れば、
完成です。

こういった二値化したときの木のベタの散り方を覚えておくと、
カラーイラストになった時でも使えるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
トレースの一番大きいメリットは、
比較的簡単で、正解の形が確認しやすいことです。
ですが、ただ線をなぞるだけだと、
練度は上がりにくいです。
しっかりと見る能力を使い
- 手前、真ん中、奥の距離感
- 物の構造
- 線の種類・質感
- シルエット
これを意識することで、
どんどん上達していきます。
最初の頃は単調作業になりやすいので、
できる範囲から始めて、徐々に描けるものを増やしていきましょう。
絵が描けるようになる順番は、
- 発見する
- 認識する
- 描けるようになる
発見と認識のところに正解の形をインプットすれば、
あなたは確実に上達します。
この記事が、参考になれば幸いです。
それでは、また。
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